30回以上、同じことを指摘されていた
2025年12月から、オンライン英会話を続けています。Camblyという、講師と1対1で話すだけのサービスです。レッスンが終わると、その日のうちに講師からフィードバックのメールが届きます。良かった点、改善点、次までの宿題。毎回きちんと書かれています。
私はそれを読んで、なるほどと思って、閉じていました。それを46回くり返しました。
8月のある日、そのメールを半年分まとめてClaude Codeに読ませてみました。受信トレイから46通を取り出し、レッスンごとのノートに構造化して、指摘された弱点だけを別のファイルに累積させる。やったのはそれだけです。
出てきたものを見て、少し動揺しました。
見つかったこと — The Finding
弱点トラッカーの1番目には、こう書かれていました。
完全な文で言い切る(最重要・ほぼ全期間で指摘)
内訳は、2025年12月から2026年4月までに約20回、5月から8月までに約12回。合わせて30回を超えます。46回のレッスンのあいだ、ほとんど毎回のように、同じことを指摘され続けていたことになります。
厄介なのは、毎回ちがう言葉で書かれていたことでした。7か月半のあいだに届いた3通を並べてみます。
2025-12-23 — 考えが短いフレーズに分断される。because / although / however / therefore で1つのつながった文として表現すると、自然に聞こえ相手も追いやすい
2026-07-06 — 文構造・語順。完全な思考になる前に、短いフレーズで出てくることがある
2026-08-09 — アイデアが強く始まっても、完全に着地する前に途切れることがある
使われている単語はほとんど重なっていません。1通ずつ読めば、それぞれ別の日の、別の指摘に見えます。並べて初めて、全部が同じことを言っているとわかりました。
宿題を並べると、もっとはっきりします。
- 2025-12-23: 毎日、日常活動について5〜10文書く。各文で2つのアイデアを because / so / but / although でつなぐ
- 2026-08-09: 毎日、日常生活について because / although / so / since を使った3文を書く。それぞれ音読し、主語・動詞・完結した考えがあるか確認してから次へ
7か月半かけて、ほぼ同じ宿題に戻ってきています。
そして最新のフィードバックには、講師のこんな一言がありました。
これは一貫して注目されている分野です
講師は知っていたわけです。46回のうちほとんどを同じ人が担当してくれていたので、当然といえば当然でした。知らなかったのは私だけです。
なぜ見えなかったのか — The Blind Spot
情報は最初から全部そろっていました。46通のメールは受信トレイに残っていて、一度も消していません。足りなかったのは集計だけです。
1通ずつ読んでいるあいだ、そのメールは「今日のフィードバック」でしかありません。先週のメールと突き合わせながら読む人はいないし、しかも指摘の表現が毎回違うので、仮に前回を覚えていたとしても同じものとして数えられません。人間の記憶は、こういう緩やかに繰り返される指摘を積み上げる用途にまったく向いていないのだと思います。
裏を返せば、ここはちょうどLLMが得意な領域でした。46通を読んで「言い方は違うが同じことを指しているもの」をひとまとめにする作業は、単純ではないけれど、時間さえかければ人間にもできる種類の仕事です。それを個人が、自分の半年分のログに対して実行できるようになったのは、わりと最近のことだと思います。
どう構造化したか — The Setup
手順は3つだけです。
- Gmailから講師フィードバックのメールを全部取り出す(本文に良かった点・改善点・宿題・次回の焦点がすべて入っています)
- レッスンごとのノートに整形して、Obsidianに置く
- 指摘された弱点だけを1ファイルに累積し、再発回数と初出のレッスンを記録する
肝は3番目でした。ノートを46枚作っただけでは、結局46枚を読み返さないと何もわかりません。「再発回数」という列をひとつ足した瞬間に、弱点に順位がついて、最優先の課題が1つに決まりました。冠詞が5回、主語と動詞の一致が3回、前置詞が2回。1位だけが30回超で、他を大きく引き離しています。
Camblyのサイト側には録画・文字起こし・AIによる訂正・統計(スピーキング率やWPM)も残っているので、そちらはブラウザ操作で拾って同じノートに足しています。実装の詳細は次のノートに分けて書きます。
いま回っているもの — What Runs Now
課題が1つに決まってしまえば、あとはそれを毎日思い出す仕組みの問題です。いまは3つ動かしています。
- 毎日21時に、その週の宿題をドリルとして通知する
- 日曜の夕方に、その夜のレッスンの予習を通知する
- スマホで開ける復習アプリに、直近の言い直しカードと弱点トップ3を出す
ここで一度、設計を間違えかけました。ノートはObsidianに貯めているのですが、私は普段Obsidianもメールも開きません。保管場所として正しくても、導線としては死んでいます。だから通知とアプリを別に用意しました。貯める場所と、毎日見る場所は別でいい — いまのところ、これが一番実用的な学びです。
英語だけの話ではない — Beyond English
この構造が成立する条件は、たぶん3つだけです。
- フィードバックが継続的に届く
- それがテキストとして残っている
- 1回あたりは短く、その場で消費されて忘れられる
英会話のレッスンはこの3つを全部満たしていましたが、他にもいくらでもあります。1on1のメモ、コードレビューのコメント、健康診断の所見、家計簿。どれも「1件ずつは読んでいるが、通しでは一度も読んでいない」ものです。
もし半年以上続いていて、記録がテキストで残っている習慣が何かあるなら、一度まとめて読ませてみることをおすすめします。自分が思っているより、ずっと同じことを言われているかもしれません。